水際の鏡像

ライブや舞台のはなし

初めてジャニーズのコンサートに行った日――NEWS『White』に染まる時間

お題「初めて○○のコンサートに行った日」

 

まだQUARTETTOツアーの感想も小山さんソロ(君は吉原の桜を見たか――NEWS LIVE TOUR 2016 "QUARTETTO"小山慶一郎さんソロ『愛のエレジー』感想 - 水際の鏡像)しか書いていないのだが、取り急ぎこのお題で書きたかったので初めてジャニーズのコンサートに行った日のことを書いてみる。

 

私が初めてジャニーズのコンサートに行った日。それは2015年3月28日、NEWS「NEWS LIVE TOUR 2015 White」の札幌公演だ。

NEWSを好きになった経緯は以前の記事(2015年に初めて真剣にジャニーズを好きになった話 - 水際の鏡像)で書いたので省略するが、

それまでは邦楽ロックやヴィジュアル系のバンドが好きで(今も好きだが)、アリーナやドームクラスのコンサートなんてほとんど行ったことがなかった。ましてやジャニーズなんて全く専門外だったので何もかもがわからない。とりあえずチケットはあるが、チケット以外の何もかもがない(例:愛と勇気と元気)。

何から何まで初めてだったので、身近にいたジャニオタの友人(Hey!Say!JUMPの山田くん担)にジャニーズのコンサートに行くときはどうすればいいのかを質問した。

 

私「ジャニーズのコンサートってどうすればいいの、というかそもそもジャニーズって何をどうすればいい」
友人「ペンライトと団扇を買うと良いと思う。ペンライトは公式の物だけ。団扇は胸の高さで。時間があったらファンサ用の団扇を作ると良い。あとジャニーズウェブも入会するといいよ」
私「なるほど」

 

もう右も左もわからない生まれたてのジャニオタのため、友人に言われるがままにジャニーズウェブに入会し、とりあえずファンサ用の団扇を作る事は諦め(ビビりのため)、3月28になるまでの一か月弱、NEWSのアルバムを買ったり過去のライブDVDを買ったり観たりしながら過ごした。

3月28日当日。事前物販に行き、小山慶一郎さんの団扇とペンライトとカレンダーとポーチとバッグを買った。真駒内セキスイハイムアイスアリーナから自宅まで地下鉄一本で帰ることができるため、一旦帰宅して昼寝。完全に「コンサートはデート♡おしゃれして可愛くしていかなくちゃ♡」という概念を知らなかったのでノリ的には「最近気になっていたバンドのライブに当日券で行くんだよねー」という感じ。開場時間に間に合うように起床し、購入したツアーバッグは自意識で持つことができなかったのでヘルムートラングのトートバッグ(悲しきかな、雑誌の付録です。プロパーでラングのトート欲しい)に団扇とペンライトと双眼鏡とチケット等を詰め込み、真駒内へと向かった。

 

今年(2016年)のQUARTETTOのときの札幌はそんなに寒くなかったのだが、去年は3月下旬でもまだ寒い。真駒内セキスイハイムアイスアリーナは名前の通りスケートなどに使われる会場のため、会場内がそもそも寒い。紫と薄水色のツートンカラーの変な薄手のニットに、春用のトレンチコートを羽織っただけの私は緊張と気温で寒く、会場内で会いたくて会いたくて震えるのではなく、寒すぎて寒すぎて震えていた。

座席はスタンドのブロック最前で、右隣は中学生くらいの女の子とその母親らしき人、左隣は大人しそうな女子2名だったので心底安心した。一人でのコンサートだったため、隣が4連強めギャルだったら泣くしかないなと覚悟していた。座席で双眼鏡を出してみたところ、後ろにいた複数名で来ているオタに「双眼鏡使わなくても見えるよね」等軽くdisられたがそれくらいのことで挫ける私ではない。まあそんな感じで和やかに(!?)開演10分前くらいになった。


『White』はこう......悪の組織が......インターネットが云々みたいなテーマなので(多分)、コンサートが始まる前のメインステージのモニター映像がバチバチしているのが格好良いなーと思った。

コンサートが始まって思ったこと。アイドルのコンサートはメンバーを「見上げる」のではなく、「見下ろす」景色なんだなと。バンドのライブは狭いライブハウスで、後ろから押されながら腕を振り上げて、髪を掻き乱して、メンバーのことを「見上げて」いた。しかし、アイドルは違う。もちろんアリーナ席だったら見上げることになるのだろうが、大半の人は「見下ろす」時間が長い。楕円形の会場で見下ろした、煌びやかな衣装を着た4人のアイドルはいい意味で「水槽の中を優雅に泳ぐ熱帯魚」のようだった。

ゆらゆらと水槽の中を泳ぐ熱帯魚のように、美しく生きてみせるひとたち。アイドルの衣装は、おそらく、遠く離れていてもわかるようにだろう、スパンコールであったり、金色の糸であったり、派手で目立つもので装飾されている。時折、4人は私たちに大きく手を振る。大きな動作で、ライトに反射した衣装がきらきらと光った。その様子は、熱帯魚の鮮やかにきらめく長い尻尾をも思わせる。

以下コンサートで特に思い出に残っている曲感想をつらつらと。多分時系列順。

は、半裸だー!!!セクシー&キュートすぎて参った。小山さんの肌の色の美しさといったらこれ以上ないよね。とりあえず身体を観続けました。最高でした。

い、イケメンだー!!!実はロメオとエスコートの演出が繋がっているということは事前にネタバレの矢を膝に受けてしまっていたので落ち着いて観ら.....落ち着けるわけがない。小山さんのセクシーキュートで動揺している中に、加藤シゲアキ先生とかいう最上級のイケメンをぶち込まれて完全に脳が混乱したのでとりあえず満面の笑みで観ていた。最高です。

もう衣装が。衣装が最高すぎて。和傘と黒と赤とか完全にオタクの心を撃ち抜いてくる美しさ。

イントロでテンションアゲアゲになる曲ことチャンカパーナ。Whiteのコンサートでのチャンカパーナの演出が好きだった。モニターの映像とかが派手で。

恥ずかしながら手越さんがピアノを弾けるということを知らなかったのでびっくりした。真っ白な衣装と真っ白なピアノ。光に透ける綺麗な金髪。お、王子様だ......。これは生で聴けてよかった。手越さんの歌や、誠実なピアノ演奏がとても好きだ。またピアノ演奏聴きたいです。

  • Skye Beautiful(増田貴久さんソロ)

衣装と映像が相俟って格好良い!増田さんのソロはお洒落だなあと思う。スタイリッシュでクールな雰囲気。自分の世界を邪魔されることを許さないような、増田さんの気迫と姿勢は美しいなと思う。静寂の中で、構築される増田さんの世界を見詰めていた。

  • Black Jack-Inter-~BYAKUYA

アルバムでも好きだったんだけど、本当にBlack Jack-Inter-~BYAKUYAの流れが大好きで!BYAKUYAだけで映画と写真集作ってほしいくらい好き。BYAKUYAの衣装も大好きだし、振り付けの統率感も好き……。

  • SNOW EXPRESS

私が行ったWhiteコンサートの中で一番好きな時間。スノエクが大好きなので聴けてよかった。これはセンターステージだったんだけど、周りを囲まれながら踊るNEWSの4人の高潔さと、スノエクの歌詞が合うわ合うわで。3月下旬の冷えた札幌の空気とスノエクはよく合った。

 

~色々すっ飛ばしまして~

 

いや~アイドル綺麗だな~とか思っていると突然周りがざわざわし始める。通路と通路の間がビニールテープのようなもので塞がれていく。何!?何が始まるんです!?と思っているとどうやらトロッコが来るようで。トロッコって、ちょっと、これ私の目の前通るじゃん!?ここでファンサ団扇を作ってこなかったことを少し後悔しました。自意識に負けずに作ればよかった。

一番最初に目の前を通ったのは手越さんだったと思う。すげー!!!きらっきらしてる!!!何!?王子様なの!?顔がかわいい!!!ちっちゃい!!!きらきら!!!王子様だー!!!顔がかわいい!!!とかわいわいする。一人で。

次に通ったのはシゲアキさん。すげー!!!全然こっち見ない!!!小山さんの団扇だから全然こっち見ない!!!本当にシゲ担のことしか見ない!!!すげー!!!顔がかっこいい!!!とかわいわいする。一人で。

次は増田さん。すげー!!!めっちゃファンサする!!!超笑顔!!!かわいい!!!愛想が良い!!!アイドルの鑑!!!身振り手振りで感謝を伝えている!!!すげー!!!顔がかわいい!!!とかわいわいする。一人で。

 

で。

小山さんが。

通りますよと。

 

隣にいた中学生の娘を連れたお母様「小山くん来るよ!!!」

親切に隣にいた中学生の娘を連れたお母様が、孤独な私に小山さんが来ることを伝えてくれた。いや見ればわかるけど何か気を遣ってくれてありがとう。

もうずっと小山さん鬼のように隣ブロックでファンサしてた。めちゃくちゃファンの手とか触りまくってた。

 

で。

目の前を。

通りましたよと。

 

もう、一瞬だった。トロッコは光よりも速かった。一回ス......って息したらもうトロッコ目の前にいなかったもんね。私のブロックはどうやらトロッコから降りてステージに戻るブロックだったようで、ファンサとかいう話ではなかった。小山さんトロッコから降りてた。ってか、アレだね、スタンド最前って、死角だね!

隣にいた中学生の娘を連れたお母様「いい匂いした......」

え、まじすか。匂い!?全然わからなかった。多分いい匂いがしたんでしょう。あんなに美しい人からはいい匂いがするに決まっているだろう。

ロッコを降りてステージに戻る小山さん、めちゃくちゃ触られまくってて

小山さん「みんなすごいおけつを触ってくるのね......」と言っていた。アイドルって大変だなと思いました。

  • 渚のお姉サマー

ファンサ的な曲が終わってメインステージで渚のお姉サマー。座って静かに歌う感じだったんだけど、小山さん一人だけ振り付けちょこちょこ踊っていて爆裂に可愛かったです。

  • 愛言葉

愛言葉で締めてコンサートは終了。

 

ダブルアンコールはやらないだろうと思っていたので(実際やらなかったようです)、混雑に巻き込まれないように足早に会場を出た。

私にはまだやり残したことがある。会場を出て真っ直ぐに物販のテントに向かった。冷えた空気を小さく息を吸い込んで、私は言った。

「小山くんのフォトセット1つください」

写真なんていらないと思っていた。だからコンサート前にグッズの写真は何も買わなかったのだが、コンサートが終わると無性に写真が欲しくなっていた。

 

初めて行ったジャニーズのコンサートのNEWSの4人はただただ美しく、真駒内セキスイハイムアイスアリーナの会場自体は冷えているのに、コンサート中の気持ちは不思議と温かかった。私はドドド新規で、一人で来ているコンサートなのに、疎外感も寂しさも感じなかった。

アイドルを応援することは、良くも悪くも共同幻想であり、ドグマ(教義)に巻き込まれる状態だと私は考えている。その状態に陥る勇気が無くて、今までアイドルを避けていたのかもしれない。コンサートが終わって、私ははっきりと「巻き込まれてみよう」と思った。どうしようもなく楽しくて、幸せなコンサートを経験してしまった以上、このままNEWSに巻き込まれてみるのも悪くないと感じていた。

また私お得意の回りくどい表現になってしまったが、

要するに、

NEWSが大好きだ。

 

 

初めてジャニーズのコンサートに行ったとき、私は19歳だった。10代最後の、ぎりぎりのところでNEWSに出会えた。10代最後の数か月間で、坂道を転がるようにNEWSを、小山慶一郎さんを好きになった。私の長い長い暗黒の青春を、NEWSが『White』という白で染め上げてくれた気がする。

私は今でも、克服できない思春期と、甘ったれなセンチメンタルを抱えたままだ。20歳、大学3年生の6月。いい加減モラトリアムから抜け出すべき時期に至っている。就職活動を少しずつ始めた。12トーンのイエローベースの髪の毛を、近々黒く染めようと思う。けれど、その黒は10代の頃のような暗黒の黒ではなく、「息を呑むよな黒髪」になるだろう。

10代最後の瞬間にNEWSに出会えてよかったと思う。青春の最後を、NEWSが眩い白で染めてくれて、17歳のどうしようもない私が少しだけ救われたような気がした。

20代は始まったばかりだ。さて、どんなに楽しいことが待っているのだろうか。

とりあえず、今は。

NEWSと共に歩めば、道は拓ける、確信はないけれど、そう思う。もうすぐ夏が来る。次はどんな景色をNEWSが見せてくれるのだろう。今年の夏は忙しくなりそうだ。センチメンタルに砂糖漬けにされている暇はない。少しだけ明るく笑って、生きてみようと思う。愛は地球を救うのか、そもそも愛って何か、NEWSと一緒に考えてみようじゃないか。